膀胱炎の原因


膀胱炎は膀胱の内部に細菌が入って増殖することが原因で膀胱が炎症を起こす病気です。
原因になる細菌で最も多いのが大腸菌で、原因菌の約80%を占めます。
そのほかには、食中毒菌であるブドウ球菌やレンサ球菌などのグラム陽性球菌、真菌など常に私たちの体内にいる菌がほとんどです。
まれにウイルスが感染することもあります。

新宿の皮膚科併設の泌尿器科はこちら

▼ 目次

膀胱炎の原因は菌

これらの菌は珍しい菌ではなく、私たちの体内に一般的に存在する菌です。
これらの菌が侵入したから、すぐ膀胱炎にかかるわけではありません。
普段は私たちの免疫力がこのような菌が異常に増殖するのを抑えています。
膀胱炎が起きるときには、これらの菌が以上に増殖してしまうときです。
これら一般的な菌が増殖して炎症を起こすのは、菌以外に何らかの原因があるのです。
膀胱炎を起こす原因としては、、膀胱周辺の衛生状態、排尿回数、免疫力の低下、病気などで尿道がふさがった時、薬剤の副作用、体質的なものなどが考えられます。

膀胱周辺の衛生状態が良くないとき

最もポピュラーな膀胱炎の原因は不衛生な性行為だといわれています。
欧米では膀胱炎を性病の一つととらえる医師もあるくらいです。
現実にクラミジアや淋菌に感染すると合併症として膀胱炎にかかることがすくなくありません。
また、カンジダに感染すると真菌性の膀胱炎を起こすことが多いようです。

膀胱周辺の衛生状態の問題は性行為だけで起きるものではありません。
トイレの後のケアにも注意が必要です。
特に女性は肛門と膀胱が近いので注意が必要です。
また、温水洗浄機は、気分もすっきりするし衛生管理にも効果があります。
しかし、あまり神経質に尿道部分を洗うと逆効果になってしまいます。
本来は排尿だけの場合には、温水洗浄は不要です。
高齢者や幼児など排尿後のケアが不十分な場合にも膀胱炎にかかることがあります。

排尿回数が少ない時

排尿を我慢することで起きる膀胱炎もあります。
尿は、膀胱周辺の細菌を洗い流す役目があります。
排尿の回数が少なくなると、細菌が繁殖しやすくなってしまうのです。
家事や仕事などで排尿を我慢すると、膀胱炎のリスクが高くなります。

日本では昔から、女性が尿意を伝えにくく、我慢することが多いため、膀胱炎にかかることが非常に多かったのです。
この傾向は近年になってだいぶ改善されました。
また、夏は水分不足になりやすいため排尿の回数が減ります。
しかし、夏は細菌が増殖しやすい季節でもあります。
夏の水分補給は膀胱炎の予防という役目もあります。

免疫力の低下

過労が続くとどうしても体力が落ちてしまい免疫力が低下します。
このような時には細菌が増殖しやすいため、膀胱炎にもかかりやすくなります。
意外なことに精神的なストレスが長期間継続することでも膀胱炎が起きることがあります。
精神的なストレスで、眠りの質が悪く慢性的な睡眠不足状態が続くと、体力がおちて免疫力が低下するからです。

長時間の冷えも、膀胱の血流が悪くなって抵抗力が弱くなるため膀胱炎にかかりやすくなります。
冬に屋外で働く人、夏の冷房が強すぎるオフィスなど、冷えによる膀胱炎のリスクは職場に多いものです。

また、月経の前後には、自律神経のバランスが崩れて免疫力が低下することがあります。
月経前症候群の影響が膀胱炎となって現れることもあります。
月経の最中も、パッドがむれることが多く膀胱炎にかかる可能性が高くなります。
こまめにパッドを変えるなどの注意が必要です。

糖尿病の人の尿は、糖分が多く大腸菌が増殖しやすい状態です。
また、糖尿病の人は抵抗力が弱いため真菌も増殖しやすく、真菌性膀胱炎にもかかりやすくなります。

尿道がふさがれるとき

男性の前立腺肥大症やがんなどで尿道がふさがれたときにも、膀胱炎にかかることがあります。

薬剤性膀胱炎

抗がん剤は増殖するがん細胞の増殖を止める薬です。
抗がん剤の影響で体の様々な器官の細胞も影響を受けます。
膀胱、腎臓、肺などの細胞は抗がん剤の影響を受けやすい器官です。
抗がん剤は膀胱炎のリスクを高めます。
放射線によりがん治療にもよく似た傾向があり膀胱炎にかかりやすくなります。

アレルギーの治療薬、ペミロラストは副作用として膀胱炎があげられています。
商品名はアレギサール、ペミラストンなどです。
避妊用の殺精子剤も女性の尿道周辺の細菌フローラを乱してしまい膀胱炎を起こすことがあります。

カテーテル

病気や手術をして自分でトイレに行けない場合尿道カテーテルを使うことがあります。
もともと病気や手術で免疫力が弱っているところに、カテーテルの刺激が加わるので膀胱炎を起こすリスクが高くなります。

体質的なもの

もともと、尿路感染症を起こしやすい体質というものがあります。
また、これらの体質は遺伝することが多いのです。
また、尿は腎臓から膀胱へ向けて流れて体外へ排出されます。
ところが、先天的な尿管異常が原因で尿が腎臓へ逆流してしまうケースがあります。
この場合にも、膀胱炎のリスクが非常に高くなります。

膀胱炎のリスクは日常的にあります。
衛生状態に気を付けるだけではなく、食生活や睡眠の質などを整えて免疫力を維持するように努めましょう。